米シリア攻撃で北からの核攻撃が現実に-4 東芝は迎撃システム開発で再生をめざせ!

完成を見たはずの迎撃システムが無力なわけ

 巨額の費用を投入して開発したイージスBMD(弾道ミサイル迎撃システム)であるが、確かに実射テストで迎撃できることが確認されている一方で、実戦にはほとんど役に立たないという見方が多いのはなぜだろうか?

 それは、ある限られた条件下で多くの前提を置いてテストした場合には成功するが、実践ではそれらの条件を満足しない場合が多いためであると考えられる。
 弾道ミサイルは発射されてから着弾するまで、長距離弾道ミサイルで30分、近距離ミサイルで約5分程度であるため、探知して迎撃ミサイルを発射するまでの時間は、ほんの数分程度しかない。これを過ぎると迎撃に最適なレンジを外れて打ち漏らすことになる。
 そう考えると、ミサイル発射の探知は発射された直後から行われなければ正確な弾道を計算することはできないが、この発射された直後から探知するのが意外に難しい。

 ミサイルの位置を正確に知るためには、レーダーで探知するのが一般的であり、実際イージス艦に搭載されているのも高性能なフェイズドアレイレーダーである。レーダーの原理は、ある一定の方向に強い電波を照射し、反射波があればその方向に物体があることを検知するシステムである。昔は一定の方向に電波を照射するためにアンテナ自体をくるくる回していたが、最新のイージス技術ではアンテナの方向を変えずに電波を照射する方向を変えるフェイズドアレイアンテナを用いることで、一瞬で全方位を索敵し、探知した敵の位置を追尾することができるようになった。

 イージス艦のレーダー探知の最大範囲は500キロ程度とされている。しかし、この距離を離れると地球は丸いので対象は水平線の下に隠れてしまい、レーダー波が届かず発射直後の探知は不可能である。加えて、いくら全方位を一瞬で索敵できるとはいえ、ある程度限られた範囲に向けてレーダー波を照射しないと探知できない。そのため、北朝鮮が仮に移動式発射システムを用いて任意の場所からミサイルを発射すれば、現在のイージスシステムでは発射初期段階での捕捉は不可能なのである。このことが、ミサイル防衛が無力であると言われる根拠にもなっている。
 これを補うため、米軍は早期警戒衛星を開発して展開した。早期警戒衛星は、ミサイルが発する赤外線を検知して発射の初期段階から弾道ミサイルを捕捉しようとするシステムである。米軍が展開する早期警戒衛星により大まかな位置情報を探知して海上のイージス艦もしくは地上のレーダーサイトに伝達し、そこから集中してレーダー探知を行い正確な位置情報を割り出す方式が一般的である。したがって、この早期警戒衛星の性能次第でミサイルを捕捉できるかが決まる。
 日本は残念ながらこの衛星を保持しておらず、米軍が監視して探知した情報を受け取るだけであるが、早期警戒衛星は世界に3個が展開するだけで、日本近郊を集中して探査しているわけではない。日本専用の衛星は2014年度からようやく開発のための予算が付き始めたのが現状だ。


01_spx400.jpg

早期警戒衛星


●東芝の技術開発力をミサイル迎撃システム開発に活かすことで一石二鳥

 北朝鮮からのミサイルを迎撃するためには、日本独自の早期警戒衛星が必要なのは明白だ。それには、巨額な防衛費が必要となるが、多くの部品に民生用を流用することで大幅なコストダウンになる可能性がある。
 実は軍需用の調達部品は、ネジ1本に至るまで、軍用規格の専用部品が使われてきた。そのため、同じ形状の部品でも専用に作るわけなので製作コストは跳ね上がっていた。防衛費が跳ね上がる原因はここにある。さすがに、ネジ1本まで専用部品を使うのは馬鹿らしいため、最近では積極的に民生用を転用する動きが出てきてはいる。民間企業でも優れた技術を有する企業の高品質な規格品の転用を積極的に推し進める必要がある。

 ここで、大手電機メーカーの東芝は、北米の原子力事業のために子会社化したウェスチングハウスが巨額の損失を出したため、経営破たんの瀬戸際にある。
 2度にわたって決算発表を延期していたが、監査法人から内容の承認が得られないまま4月11日、決算を発表するという異例の対応に踏み切った。決算をチェックする「PwCあらた監査法人」がアメリカの原子力事業の会計処理の評価に時間がかかるとして決算の内容を承認せず「意見不表明」としたことによる。現時点でのウェスチングハウスの損失額は7000億円を超えるが、さらに膨らむ可能性がゼロではないということだ。
 東芝は、ウェスチングハウスを切り離し、損失額を埋めるために好調な半導体事業を売却しようとしたが、入札する企業がなかった。売却に監視、中国や台湾企業に売却されれば、半導体に関する高度な技術情報が流れることになるため、経済産業省は売却に難色を示している。

 しかしながら、銀行以外の民間企業へ公的資金を簡単に注入するわけにはいかない。先のシャープの台湾鴻海精密工業による買収も同じようなケースであるが、銀行団は支援の資金を出せずに結果的に買収が成立した。銀行は、自分たちの危機には公的資金を使うのに、他の企業の危機には知らんふりな態度はいかがなものだろうか。


 話を戻し、今回、東芝のケースでは、公的資金をただ使うのではなく、政府から早期警戒衛星の開発を受注する形をとればよい。政府は、7~8千億円の資金を東芝に貸付け、東芝は一旦損失額を清算する一方で、全社を上げて衛星の開発を推し進めるのだ。そうすれば、日本国民にとっては自分たちの命が守られることに税金が使われることから問題ないし、東芝は穴埋めができるため半導体事業を売却しなくて済むし、経産省も技術流出を心配する必要がないことから、すべてが丸く収まる。

 ただ、このスキームを政府の方から持ちかけることにはなかなかいかないので、これは東芝が提案する形をとるのがよいだろう。東芝の経営トップは、なんとしても走力を上げて衛星の開発を成し遂げるので8千億円貸してくれと安倍首相に直談判に行くのだ。 経営陣は、東芝がここまでの巨額な損失を出した責任をとって、ダメ元でそれくらいのことはやっても罰は当たらない。むしろ、単独で3万6千6百人の従業員を露頭に迷わせる可能性があるのに、なにもせず高給を貰い続けているのであれば、土下座してでも安倍総理に頼み込むぐらいのことはしてもいいのではないだろうか。


hqdefault.jpg

 さて、北朝鮮をめぐる情勢が緊張を高める一方で、早急にミサイル迎撃システムを完成させるのに、経営立て直しに背水の陣で望む東芝にとって軍事産業に参入することで再起をはかるというこの提案、国民の命を守るという使命感が技術者にあれば、決して達成できないことはないと思う。

この記事へのコメント

スポンサーリンク